『深夜食堂』の著者 安倍夜郎さんとのコラボ作品『四万十川食堂』が有名な漫画家 左古文男さんの新作は、なんとも嬉しい尾道紹介本。
2017年夏、佐古さんが2週間ほど尾道に滞在され、食べ歩き、取材をし、尾道を満喫しながら書き上げられた作品だそうです。
尾道が好きな方に是非手に取っていただきたい一冊ですが、それよりも尾道市街地・新開エリアをウロウロしている尾道人にこそ読んでいただきたい名著!
ラブ尾道名方ならニヤニヤとウフウフが止まらない新著、ご紹介しますね。
目次
尾道、食べさんぽ。坂と寺と映画の町を食べ歩く
尾道ラーメン&尾道焼き食べ歩き
一番最初に取り上げられているのは、やっぱりラーメンとお好み焼き。
初めて尾道を訪れた方に「何が食べたいですか?」と聞くと、ほとんどの方が「尾道ラーメン」または「尾道焼き」(尾道のお好み焼き)とおっしゃいますものね。
尾道ラーメンは、三大老舗人気店『朱さん(朱華園)』『みやち』『つたふじ』を筆頭に、通信販売から人気に火が付いた『壱番館』、わたしもしょっちゅうお邪魔している『一楽』などが、左古さんの素敵なイラストと解説で紹介されています。
思わず「ふふっ」と微笑んでしまう店主や奥様の似顔絵は、お店のファンなら必見ですよ~♪
尾道焼きは、NHK朝の連続テレビ小説「てっぱん」で全国区になった『村上』、じいじの引退がさみしいけど変わらず賑わっている『のぐち』、大林宣彦監督ファンの聖地でもある『いわべえ』、茹で麺が美味しい『てっぱんや』、そしてそして、大好きな『玉扇』!
お好み焼きコーナーなので、「世界一のハイボール」については触れられてなかったのが残念(笑)。
地元民御用達&新開の呑み食い処
「地元民御用達」の言葉そのまま、わたしも子どものころから慣れ親しんでいる『しみず食堂』『きはら食堂』が取り上げられていてビックリ嬉しい。
エビ粉と甘めのおあげさんが美味しい『やすもと』の「尾道いなり」は、よくお昼ごはんにさせてもらってます。「鯖寿司」も大好き。
「おー!このお店も!」「わぁ、大将の似顔絵そっくり!」などニヤニヤしながら読み進んでいくと、ぶふふっ!
ふわふわ出汁まき玉子が絶品な京料理店『高原誠吉食堂』の高原大将、ひときわそっくりじゃないですか♪
あー!大将とお母さん!!! 優しい優しいお出汁が染みる『風月』ものってる~!
いやぁ、この本、めっちゃ楽しい。
お顔を存じ上げてる方ばかりなので、読みながら笑っちゃうわ一人でイロイロつぶやいちゃうわ、自分がうるさいです(笑)。
幼いころ、「ミホちゃん、水族館に連れていったげるよ」と言われて喜んでいた洋酒喫茶『ロダン』も思い出深い場所。
ねこの先生・園山春二と尾道イーとハーヴ
不思議な猫ティーグルとの邂逅を描いた短編マンガ「猫町の風待茶屋」、『招き猫美術館in尾道』『猫グッズ専門店ルシャ』の紹介など、ネコ好きにはたまらない章。
画廊喫茶と尾道アート
「映画の町」「海と坂の町」「文学の町」「猫の町」、いろいろ呼び名のある尾道は「絵の町」と表現されることも多いのです。
こちらで「画廊喫茶」という言葉が出てきてあらためて気付きましたが、尾道市街地には確かに「画廊作家」が多く存在し、いつも趣味のいい絵をかけておられたり、地元の作家さんたちが個展を開催したりされています。
佐古さんがまた尾道へいらっしゃる機会がおできになれば、是非『Gallery Bar 夢喰』へもお運びいただきたいな。
映画「尾道三部作」のロケ地を歩く
大林宣彦監督「尾道三部作」(転校生、時をかける少女、さびしんぼう)、「新三部作」(ふたり、あした、あの、夏の日)。
ロケ地とからめた作品紹介文も、映画の名シーンを描いたイラストも素晴らしく、時計の針がすごい勢いで30数年巻きまどり「時をかけた」ような気持ちに包まれます。
この章を読んだら、大林監督の尾道6作品がまた観たくなっちゃったなぁ♪
尾道七仏めぐり
尾道三山の山腹に、寺社仏閣がひしめくように建っている尾道。
すべての寺社をめぐるには時間がかかるので、代表的な七寺をめぐる「尾道七仏めぐり」が人気です。
『持光寺』での握り仏体験、オススメします。
座禅体験で静謐な気持ちにひたれる『天寧寺』。
巨石ミステリーを研究したくなる『千光寺』。
幽玄な薪能に合わせてご来尾いただきたい『浄土寺』。
他、このブログではまだご紹介できていない三寺が、『大山寺』『西國寺』『海龍寺』。
まとめ
「尾道のことならスミからスミまで知り尽くしていると思っていたのに、行くたびに感嘆させられることや人との出会いがあり、興味がつきない」とあとがきに書かれている佐古さんの言葉は、日々尾道で暮らしているわたしもまったく同じ思いです。
歴史と伝統を大切に守りながら、柔軟に変化し進化し続けている、愛する我が町、尾道。
神戸から尾道へUターンして丸9年がたった今も、尾道水道を眺めるたび、尾道商店街や尾道海岸通りを歩くたび、美味しいごはんやお酒をいただくたび、そして尾道の人情に触れるたび、「あぁ、尾道に帰って来てよかったわぁ。この町で暮らせてほんま幸せじゃわ」としみじみ思うのです。
左古文男さんと一緒に尾道を「食べさんぽ」している気分になれるこの本、ぜひぜひお手に取ってみてくださいませ。
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