広島文化賞を受賞している「尾道薪能」、第26回となる2017年は5月13日(土)に開催されました。
尾道の古刹「浄土寺」の阿弥陀堂(重要文化財)を舞台に繰り広げられる、静謐で幽玄な世界。
観世流 吉田潔司氏・吉田篤史氏・吉田和史氏・吉田学史氏、、三世代の息がピッタリと合い、能鑑賞に慣れていない人もみるまに惹き込まれてゆきます。
四半世紀を超えて続く「尾道薪能」、ご紹介しますね。
尾道薪能
室町幕府三代将軍足利義満の庇護のもと観阿弥・世阿弥父子によって洗練されてゆき、戦国武将に愛された時代を経て、江戸時代に最盛期を迎えた能。
足利義満の庇護の下大成した能の世界を、足利尊氏ゆかりの浄土寺で観る― 京都より、重要無形文化財の 観世流シテ方・吉田潔司氏、 観世流シテ方吉田篤史氏を迎え行われる一夜の世界。
700年の時を経てなお優美な佇まいの阿弥陀堂で、篝火に映し出される幽玄な能の空間は、観る人を魅了し、尾道の初夏の恒例行事として、広く市民に親しまれています。
尾道薪能ホームページより。
<第26回 番組>
仕舞 敦盛
話 能「百万」への誘い
狂言 蟹山伏
仕舞 松風、岩船
火入式
能 百万
「能なんて観たことないし、高尚で難しそう」という心配はご無用。
パンフレットには星わにこさんの可愛いコミック版が掲載されていますし、あらすじと主なセリフも印刷されています。
更に番組内の「話」で吉田潔司さんから優しく解説をいただけるので、ストーリーを理解したうえで能の世界にひたれますよ。
狂言に至っては終始笑いっぱなしですから、老若男女問わず楽しめます。
今回の「蟹山伏」は蟹の動きが面白過ぎて、お友達と腹筋が痛くなるほど笑い転げちゃいました♪
19時頃「火入式」が行われ、篝火に浮かび上がる阿弥陀堂を舞台に厳かに舞うシテ、高らかに響く鼓と哀愁ある響きの横笛、地謡。
吉田潔司さんの解説で「笹を持ってる女性は狂女だという設定を世阿弥が生み出したんです。笹が扇に変わったら、正気に戻ったゆうことなんですわ」とお聞きしていたので、シテの小物が変わってゆく様子も「あぁ、ここで正気に戻ったんだ」と理解しながら楽しめました。
大学時代に「能・狂言」の授業をとっていたので、19歳から何度も能鑑賞はしてるのですが、薪能、それも阿弥陀様の御前で演じられる能は格別に妖艶で幻想的ですね。
「時空を超えた世界」という表現を、体感できます。
来年も絶対また行こう!
※能舞台はもちろん撮影禁止なので、夜の写真は終了後に撮影したものです。
尾道薪能ホームページ
https://ermjp.com/noh/
尾道薪能 注意点
開場は17時ですが、16:30ころには行列ができています。
来賓席を除き完全自由席なので、いい席を取りたい方は早めに並びましょう。
尾道市外からお越しになるなら、周囲を散策する時間も取りたいですね。
阿弥陀堂前を中心に、約800席が並びます。
<持ち物>
開場時は日差しが強く、日が落ちるととたんに冷え込みます。
・飲み物(境内に自販機あり)
・日傘、帽子
・ひざかけ
・羽織るもの
・ざぶとん(パイプ椅子対策)
をお持ちになることをオススメします。
浄土寺の歴史
616年に聖徳太子が創建したと伝えられています。
室町時代 初代将軍 足利尊氏と縁が深く、境内には供養塔が建立されています。
「本堂」「多宝塔」は国宝、「山門」「阿弥陀堂」は国重要文化財、境内一帯は国指定文化財。
そして、浄土寺といえば鳩。
子どものころは「ポッポの寺に行きたい」と、鳩目当てでよくお散歩に連れていってもらってました。
現在も鳩のエサを購入すれば、人なつっこい鳩たちとの触れ合いも体験できますよ~。
事前に予約すれば、本堂内陣・阿弥陀堂内陣・庭園等を拝観することもできますので、詳しくはホームページでチェックなさってくださいね。
浄土寺 情報
浄土寺(じょうどじ)
〒722-0043 広島県尾道市東久保町20−28
電話: 0848-37-2361
https://www.ermjp.com/j/temple/