空海と最澄の生涯を描くマンガ『阿・吽』(おかざき真里著)と2016年に出会って以来、真言宗の開祖 空海に興味が湧きまくっております。
『阿・吽』を読むまでは、恥ずかしながら空海と最澄に対して「高野山と比叡山を開いた偉いお坊様」くらいの認識しかなかったんですよ。
マンガにはフィクションも入っているし、最新巻8巻でやっと空海が帰国したところなのでまだまだ続きそう。
「もっと詳しく空海の生涯と事績を知りたい!でも、論文とかじゃなくて、読みやすいものがいい!」と選んだのが、司馬遼太郎先生の『空海の風景』です。
『空海の風景 上・下』(司馬遼太郎著)
『阿・吽』(おかざき真里著)についてはコチラ。
10代の頃から司馬遼太郎先生の作品が大好きで「ご著書の半分以上は読みました」と自負しているのに、『空海の風景』は存在すら知りませんでした。そうなんです、今まで戦国時代と幕末ものばかり読んでたんですよ。
ちなみに一番好きなのは、永遠の心の恋人 新選組の鬼の副長 土方歳三サマの生涯が描かれた『燃えよ剣 上・下巻セット (新潮文庫)』でございます。
で、ここで大きな落とし穴。
土方歳三・沖田総司・坂本龍馬・斎藤道三・織田信長のように「司馬遼太郎先生が創作された空海」と出会えると思っていたら、大間違い。
『空海の風景 上・下』は小説というよりも、かなりドキュメンタリー寄りなタッチで執筆されています。
勉強になるといえばこの上なく勉強になるのですが、「はぁぁ、司馬空海、カッコイー!」と弾きこまれるのを勝手に期待していた身にとってはちょっと残念。
「なぜ他の小説のように、空海をキャラクター化されなかったのだろう?」と思いつつ読み進んでいると、こう書かれていました。
筆者は、空海において、ごくばく然と天災の成立ということを考えている。しかし空海の時代は今ともなれば遠すぎ、霞のかなたにあるようである
(『空海の風景 上』)
司馬遼太郎先生はこれ以上言及されていませんが、『空海の風景を旅する』を読むことでスッキリ解決できました。
わたしと同じく「空海のことを知りたい!」と感じておられる方に、オススメです。
『空海の風景を旅する』(NHK取材班)
『空海の風景』(司馬遼太郎著)と一緒に、是非とも呼んでいただきたいのが『空海の風景を旅する』(NHK取材班)。
2002年1月4・5日に放送されたNHKスペシャル「空海の風景」番組制作スタッフの方々による紀行集です。
讃岐、奈良、室戸岬、渡海、長安、博多、東寺、高野山、と空海の舞台を訪ね、空海にまつわる歴史はもちろんのこと、現地に暮らす人々に今も慕われている「弘法さん」「お大師さん」像をみごとに描き出しています。
「空海って誰や?ああ弘法さんかい。お大師さんのことやろ。朝に晩に拝みます」と笑う行商のお婆さん。”空海”という名の白菜を育てるお婆さん。
弘法大師空海の伝説は、全国に散らばっている。大正大学の斎藤昭俊教授の調査によれば、その伝説は2,668篇に達する。採録されない言い伝えの類を含めると、その数は優に三千を超すといわれる。
尾道・しまなみ海道周辺にも、空海にまつわる伝説があらゆるところに残っています。尾道の名刹「千光寺」は、大同元年(806)弘法大師空海の開基とされています。
讃岐、奈良、博多、京都、高野山。空海にまつわる場所は過去に訪れたことがあるのですが、もう少し勉強を重ねてからきちんと再訪したい!
この本のなかで一番印象的だったのは、エピローグ。番組放送後に多く寄せられた「もっと空海という人間像を描いて欲しかった」という要望に対しての、あるカメラマンの方のご意見。
空海という実態はゼロになって生きている、ということが言いたかったことじゃないかと思ったし、またその通りだと思ったよ。空海の人間像を再現して見せてくれ、なんて戯画めいたちゃちな考えだろう
それを受けての、演出構成を担当された鎌倉英也さんの想い。
空海とは、限りなくゼロであり、無限だということである。
『空海の風景』と『空海の風景を旅する』を続けて読むことで、ストンと腑に落ちました。
まとめ
当然のことながら、空海、奥深い。奥深過ぎる。
「これらの本を読んだら、すぐ旅に出たくなるんじゃないかな」と思っていましたが、もっとしっかり自分のなかに空海を落とし込んでからにしようとしみじみ感じました。
・桜前線とともに日本中を旅する
・土方歳三サマの生涯を旅する
という夢に、「空海の生涯を旅する」が加わりましたよ。いつかは四国八十八箇所巡拝もしたい。
よーし、楽しんで勉強しよう&働こう(稼ごう)!ガンバレ、わたし!