2020年7月31日に公開された(2020年4月10日公開予定が新型コロナのため公開延期)、大林宣彦監督作品『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』を観てきました。
尾道市制施行100周年記念作品『あの、夏の日 とんでろ じいちゃん』(1999年公開)以来、20年ぶりとなる大林監督尾道ロケ作品!
尾道三部作・尾道新三部作ファンにはたまらない、いや、大林宣彦監督ファン、映画ファンすべてにご覧いただきたい大作です。
是非スクリーンでご覧いただきたい名作、ご紹介しますね。
海辺の映画館ーキネマの玉手箱
公式ページ:https://umibenoeigakan.jp/
2019年製作/179分/PG12/日本
配給:アスミック・エース
『海辺の映画館―キネマの玉手箱』(うみべのえいがかん―キネマのたまてばこ、英題:Labyrinth of Cinema)は、2020年7月31日公開の日本映画。大林宣彦監督作品。尾道の映画館で日本の戦争映画特集を観ていた戦争を知らない若者3人がスクリーンの世界へとタイムリープし、明治維新から第二次世界大戦までの戦争を体験し映画のヒロインたちがその犠牲となる姿を目撃して、原爆投下前夜の広島で出会った原爆の犠牲となる定めの移動劇団「桜隊」の運命を変えるべく尽力する姿を、モノクロ、サイレント、ミュージカル、時代劇、アクションなどさまざまな映画の表現や様式を総動員して描く。映倫区分はPG12。
2020年4月10日に肺がんのため逝去した大林宣彦監督の遺作となった。Wikipediaより
2019年11月01日:第32回東京国際映画祭「Japan Now」部門 ワールド・プレミア上映
2019年11月24日:広島国際映画祭2019「ヒロシマEYE」部門 クロージング上映
2020年02月28日:尾道映画祭2020 オープニング作品(上映予定でしたが新型コロナのため開催中止)
海辺の映画館ーキネマの玉手箱、観てきました!
鑑賞後、「大林ワールド全開じゃったね!大林監督にしか作れない、大林監督にしか撮れない大作じゃね!」と意見一致。
『キネマの玉手箱』でもあるのだけれど、『大林監督の玉手箱』とも呼びたい斬新な異空間と手法のオンパレード!
「映画は映像純文学」という大林監督のお言葉が胸に沁み入る名作です。
ポップでカラフルな色使いと軽快なテンポで進む前半は情報量の多さに溺れそうになりますが、「移動演劇さくら隊」を中心に描かれる後半は、迫りくる原爆投下への恐怖、原爆投下後の地獄と悲惨さがずっしりと心に響きます・・・。
戦争をよく知らない世代の方にも、ぜひご覧いただきたい。皆さま、ぜひぜひ劇場へお運びください!
以下、わたしが感じたみどころを、少しだけ書いてみますね。
◆尾道ロケ
尾道人としては、尾道のドコが映画に登場するのか気になりますよね。尾道水道を中心に、尾道の寺社仏閣、迷路のような小路が美しくときに哀しく映し出されます。
◆数々の映画手法
Wikipediaでも紹介されているとおり「モノクロ、サイレント、ミュージカル、時代劇、アクションなどさまざまな映画の表現や様式を総動員」、3時間で何作品も鑑賞したような気分。映像制作に携わっておられる方なら、もっと複雑に深く感じ入られることでしょう。
◆数々の戦争
戦争といえば第二次世界大戦のみを思い浮かべがちですが、作中には戊辰戦争(明治維新)、日中戦争、沖縄戦、広島市への原爆投下が描かれており、その時代やその国ごとの価値観や時代背景に思いを馳せることとなりました。
「永遠の心の恋人」と慕う土方歳三サマが登場し、鳥羽伏見の戦いから会津戦での白虎隊と娘子隊の悲劇まで描かれていたのが、感慨深かった!
広島への原爆投下に関しては、幼少期から祖父母や近所の方々に聞かされて育ったし、小中高でも反戦教育が盛んな時代だったので、「歴史」ではなく「現実」として重みを感じているし、絶対に二度と繰り返してはいけない思いがあらためて強まりました。
◆ヒロインの名前
成海璃子さん:斉藤一美『転校生』
山崎紘菜さん:芳山和子『時をかける少女』
常盤貴子さん:橘百合子『さびしんぼう』
尾道三部作ファンにはたまりませんね!
『転校生』『時をかける少女』は実家のすぐ近くがロケ地だったので、小学校時代よくロケ見学に行ったのを覚えています。懐かしいなぁ。
◆中原中也の詩
シーンごとにあらわれる中原中也の詩。
わたしが一番好きな「月夜の浜辺」も登場し、久しぶりに中也の詩集を紐解きたくなりました。
◆エンドロールとパンフレット、エキストラ!
尾道人としては、エンドロールとパンフレット最終ページに数多くの友人知人が登場するのがなんとも興味深かったです。
映画館情報
福山駅前シネマモード
〒720-0062 広島県福山市伏見町4−33
電話: 084-932-3381
https://www.furec.jp/cinema-mode/
福山駅前シネマモード 施設情報
JR福山駅から徒歩3分ほど。サイクルラックが設置された映画館。
チケット売場とフードコーナーは窓口が一緒なので、発券まで少し時間がかかります。時間に余裕をもってお出かけくださいね。
2階席が無料開放されており、ソファ席でゆったり鑑賞させていただけました。感謝。