邦画

『この世界の片隅に』戦争と映画の真実、片渕須直監督トークイベント@尾道

2025年7月25日、尾道・長江CUBEで開催されたトークイベント、「この”八〇年後"世界の片隅で ー私たちは知らない。センソウのこと、カントクのことー」。

アニメ映画『この世界の片隅に』の片渕須直監督と、『週刊文春エンタ+』編集長・薗部真一さんが、戦争と映画、そして“分からなさ”について深く語り合われました。

司会はRCCラジオパーソナリティ 新里カオリさん((株)立花テキスタイル研究所代表)。

何度も何度も驚き、そして深く頷いてしまう貴重な体験、ご紹介しますね。

 

この”八〇年後"世界の片隅で ー私たちは知らない。センソウのこと、カントクのことー

 

日時:2025年7月25日(金)17:00~
会場:長江CUBE 猫の横丁

 

「語られないこと」に込められた想い

 

監督のお話で一番胸に迫ったのは、描かれていない“謎”の中に、深い史実が潜んでいること。

一例をあげると、映画の序盤で呉の上空を飛ぶ、B29偵察機。

これはフィクションではなく、実際に1945年4月8日、戦艦大和を偵察するために飛んだB29の記録がもとになっているのだそうです。

「これは創作か?」と観客に思わせる場面こそが、徹底的な調査の成果だと知り、鳥肌が立ちました。

 

「語られないこと」ことが観る人を繋ぐ

 

映画の中であえて語られない部分。

兄要一の死、夫周作の職業、すずさんの心の揺らぎ…。

いずれも「描かない」ことで、余白を残しているそうです。

理由は、「観客自身が想像し、調べ、繋がってほしいから」。

要一の戦死も、史実を調べる当時の徴兵状況や軍艦沈没事件などが浮かび上がるそうです。

“描かないことで伝える、観客に考えさせる”手法に慄きますね。

 

呉の赤──「ベンガラ塗り」が語る町の記憶

 

「呉のベンガラ塗り」へのこだわりにも驚きました。

赤茶色の外壁や柱が印象的な、呉の建物と町並み。

呉は海軍の町として栄えた港町で、塩害に強い建材が必要だった時代。

鉄サビ防止のための防錆塗料としてベンガラが使われるようになり、それが呉の町並みの色を形づくっていったとのこと。

何気なく見えてしまう風景にも、「町の記憶」や「暮らしの知恵」を宿すこだわりがすごい。

「色ひとつにしても、当時の暮らしにちゃんと根拠がある」

片渕監督の言葉が、じんわり胸に沁みます。

 

「音」で伝える、見えない戦争の空気

 

質疑応答で監督が語ってくださった音響へのこだわりにも、めちゃめちゃ感動。

呉の町はすり鉢状の地形で、山の上まで音が反響する。

遠くの爆撃音、犬の鳴き声、救急車のサイレン……

それらを「すずさんの耳で聴こえるように」再現されているそうです。

遊郭のシーンでのサイドカーの音、わざと下手に吹いてもらったトランペットの音など、ひとつひとつのシーンに、凝りに凝った音の演出が施されているとは・・・。

「目で観るだけでなく、耳で聴く映画」だったのかと、深い感動とともに気付かされました。

 

プレゼントタイム&フォトセッション

 

トークイベント終了後、ファンにはたまらないプレゼントタイムとフォトセッションが設けられました。

〇サイン入りポスターとフライヤー
〇サイン入り色紙
〇シール
など、来場者ほぼほぼ全員にいき渡るサービスぷり。

来場の皆さまは、「#この世界の片隅に」ハッシュタグを付けて、SNSへ投稿されたことと思います。

※写真撮影許可・当サイトへの掲載許可をいただいてます※

 

ミホが行動したこと・これからすること

 

トークイベントに参加して決めたこと。

•まずはサブスクでもう一度観る
 まだ見付けられていない“謎”を探したい。
 『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
 https://amzn.to/4lNnlTr

•サブスクで片渕監督のドキュメンタリーも観る
 トークショーで語られたこと、語られていないこと。
 ドキュメンタリー『<片隅>たちと生きる 監督・片渕須直の仕事』
 https://amzn.to/44PoXpF

•対談集を買った!
 「この世界の片隅に」こうの史代 片渕須直 対談集 さらにいくつもの映画のこと
 https://amzn.to/3INgyKL

•原作漫画を買った!
 この世界の片隅に【新装版】 (上)
 https://amzn.to/4570jQb
 この世界の片隅に【新装版】 (下)
 https://amzn.to/4obYs5u

•8月1日からの再上映は複数回鑑賞する!
 謎と音に何度も向き合いたい!

 

『この世界の片隅に』再上映情報

 

2025年8月1日からの再上映、ぜひとも映画館で鑑賞いたしましょう^^

終戦80年上映『この世界の片隅に』劇場予告
【2025年8月1日(金)より期間限定公開】

映画『この世界の片隅に』公式HP
https://konosekai.jp

 

トークイベント会場情報

 

長江CUBE 猫の横丁
〒722-0046 広島県尾道市長江1丁目3−24 猫の細道下 艮小路上ル
(旧尾道海技学院長江寮)
営業時間:10時〜17時45分(不定休)
https://www.instagram.com/nekonoyokochonagaecubej/

 

おまけ 会場近隣情報

 

大林宣彦監督作品『時をかける少女』『ふたり』のロケ地、艮神社。806年建立、パワースポットとしても人気です。

大林宣彦監督といえば、こちらもハズせません。超絶美味しいワッフルがいただける『茶房こもん』さん。

長江CUBE 猫の横丁へと登る小路は、まさに大林宣彦監督ワールド。

思わず足を止めてしまう興味深い民家も点在しています^^

投稿者プロフィール

本谷美穂
本谷美穂
尾道・しまなみ海道のブロガー&サイクリスト。
ソーシャルメディアを活用した販促支援、ワードプレスベースのホームページ・ブログ制作を行っています。

SONY イメージング・プロ・サポート会員

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