2020年のお誕生日祝いで、尾道商店街入口にある『郷土味かけはし』さんへ連れていっていただきました。
毎回素晴らしいお料理とおもてなしに感動するのですが、今回は大将と女将さんの趣向にも感激しどおし。
去り行く夏と初秋の訪れを感じるお祝い膳に、つっくんもわたしも心が踊りまくりの2時間半でした。
視覚・味覚・嗅覚、ココロも存分に満たされるお料理とおもてなし、ご紹介しますね。
郷土味かけはしのメニューは?
コース料理のみで、要予約。夜の部は6,600円~。
お酒は日本酒を中心に、焼酎、ワイン、梅酒、ビール、ソフトドリンクなど。
郷土味かけはし、ミホが食べたのは?
着席時にもう感動。
つっくんが「美穂ちゃんのお誕生日祝い」と伝えてくれていたそうで、鶴が描かれた和紙に、紅白の箸袋。
箸置きは真っ赤な鯛。まぁ、めで鯛!
食前酒かと思いきや、「尾道のお水」。
いずれの湧き水か井戸水かまではお聞きできませんでしたが、打ち水をされた石も濡れたシダの葉も涼し気で、風流ですね。
清水で喉を潤したあとは、生ビールでかんぱーい♪
つっくん、ありがとう!
姫栄螺とツルナのぬた。
「サザエは栄家、家が栄えるとも書くので、縁起がいいんです」と女将さん。
末広がりな扇形の器も、常緑樹で「永遠の命」の象徴と言われる松葉も、「老長生の源」とされるクコの実も縁起ものですよね。ちょっと調べてみたら、ツルナは「子宝に恵まれると言い伝わる縁起のよい植物」だそうです。
縁起のいいものばかりで構成していただいて、本当にありがたい。
そしてまぁ、ぬたの上品なこと。サザエの身は柔らかく、肝も酢味噌の酢も味噌も少しも尖ったところがなくてまろやか。
「手花火や いとけなき子に 手を添えて」
大女将さんが詠まれる俳句を、女将さんが清書されている短冊。梅結びの水引きにも女将さんの心遣いが感じられて、しみじみ嬉しい。
涼やかなおつくりは、ヒラメ、鯛、車海老、大三島宮窪の雲丹。可憐な穂紫蘇の淡い香りも、清涼感が増しますね。
キュウリの刷毛で雲丹にお醤油をたらし、とろりと甘い宮窪雲丹をいただきます。
お米の味が馥郁と広がる、竹原の銘酒「小笹屋 竹鶴 純米原酒」。
蔵 元:竹鶴酒造
生産地:広島県竹原市
使用米:大和町産雄町
鱧の出汁しゃぶ。嬉しい、鱧大好き。
長寿と繁栄のシンボル、鶴が大きく羽を広げたこの器も、素敵ですね。
1mmの雑味もない上品なお出汁に、「骨切りどころか、骨はピンセットで抜いてるんじゃない?」疑惑が出るほどの包丁捌きがほどこされた鱧。
どうやったら梅干しの酸味と塩気を、ここまでマイルドに仕上げられるのでしょうね。甘いわけではなく、酸味も塩気も程よく感じるのにひたすら優しい味わいなんです。
はぁぁ、一品一品に、唸らされる。これぞ外食の醍醐味ですね。
可愛らしい畳盆にのせられてきた、美しい塗り椀とゆずり葉。
冬瓜とアサリの葛煮。
「アサリは二枚貝なので夫婦円満、ゆずり葉は子孫繁栄、縁起がいいんです」とのこと。
冬瓜ってこんなに美味しい食材だったっけ、とのけぞるほどの美味しさは、極上のお出汁がなせる技でしょうね。
華やかな香りに包まれながらスルリと喉に入り、果実味のある旨みがふわっと広がる「尾瀬の雪どけ 磨き一割八分 純米大吟醸」。写真を撮り忘れてしまったのが悔やまれます。
蔵 元:龍神酒造
生産地:群馬県館林市
使用米:赤磐産雄町
ぎざみの松笠焼きと、糸瓜の酢のもの。
ウロコの固さはまったくなくサクサクで、身はふっわふっわ。なんて美味しいの。
冬瓜のときも感じましたが、ぎざみってこんなに美味しいお魚だったっけ!? 子どもの頃から食べつけてますが、ぎざみを心底美味しいと感じたのは初めてです。
痛恨のピンボケ(涙)、糸瓜の酢のもの。
金縁のガラスの器も素敵。糸瓜のシャキシャキ感とまろやかなお酢が、口と胃をさっぱりさせてくれます。
女流作家 林芙美子さんの『放浪記』。
「海が見えた。海が見える。五年ぶりに見る尾道の海はなつかしい」。高校卒業後に尾道を離れ、年に数回帰省するたびこのフレーズが頭に浮かんでいたのが懐かしい。
志賀直哉さんの『暗夜行路』。
「六時になると上の千光寺で刻の鐘をつく、ごーんとなると直ぐゴーンと反響が一つ、又一つ、又一つ、それが遠くから帰ってくる」。千光寺の近くで生まれ育ったので、この鐘の響きが本当に懐かしい。
深い青に惹き込まれそう。
アコウの竜田揚げ。赤酢のエッジがたっていて、ほろ酔いがシャッキリ。
こちらも写真撮り忘れ。フルーティで瑞々しい、「まつもと Ultra純米大吟醸」は京都そのものの、はんなりさ。軟水の柔らかさに癒されます。
蔵 元:松本酒造
生産地:京都府京都市伏見区
使用米:山田錦
栗と菊名の白和え、里芋田楽。
初秋を感じるあしらいに、夏から秋へと移ろいゆく季節に気付かせていただきました。
素晴らしい香りを先達に運ばれた黒い土鍋は、
わぁぁ、鯛めし!!!
丁寧に鯛の身をほぐして、よそってくださいました。
鯛と野菜の旨みがじわじわめぐる鯛めし、絶品です。日本酒が進む鯛めしです。
赤出汁もきゅうりの浅漬けも、美味しい。ひらすら美味しい。
ラストは、『かけはし』さん特製プリンと緑茶。
濃厚なこのプリン、大好き。
いやぁ、今回も素晴らしかった!! 大将、女将さん、スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。
つっくんと「季節ごとに来にゃいけんね。これからは年4回来れるようがんばろう!」と誓ったので、年内にまたお邪魔します。予約が取れますように!!
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郷土味かけはし、雰囲気や接客は?
お店があるのは、JR尾道駅から尾道商店街へ入ってすぐ右手。
1階には個室が3室(2名~8名まで対応可能)、2階はお座敷(20名まで)。カウンターも数席あり。
玄関、お部屋、お手洗い、いたるところに季節の草花が活けてあり、心が和みます。
予約時の電話応対、お出迎えからお見送り、お料理を出すタイミングや声がけなど、行き届き過ぎるほどの目配り気配り心配り、とにかくおもてなしが素晴らしいんです。
宴席・接待・御祝・お結納などの目的、苦手な食材やアレルギーなど、その人その人に合ったお料理を仕立ててくださるので、どんな方でも安心してご案内できますよん。
唯一困るのは、冒頭にも書いた「予約が取りづらい」こと。早めの予約を心がけましょう。
『ミシュランガイド広島・愛媛2018特別版』ミシュランプレートに選定されています。なぜ星がつかないのか不思議で仕方ありません。
お店情報
郷土味かけはし
〒722-0036 広島県尾道市東御所町3−12
電話: 0848-24-3477
http://kakehashi.hp.gogo.jp/pc/